科学技術基本法改正問題続報

数日前に書いた「科学技術基本法」を「科学技術・イノベーション基本法」に変更する改正案の件ですが、同改正案は1日に委員会で採決され、2日に衆議院の本会議も通過しました。

 附帯決議が付いています。衆議院のHPではまだ見つからなかったのですが、大学フォーラムがツイートしています。

https://twitter.com/univforum7/status/1267374841545424896?s=20

 

この改正案に関してはいわゆる「司令塔」問題というのがありました。要はトップダウン体制の中でどの組織がトップとして指令を下すのかといううことなのですが、2001年内閣府総合科学技術会議がおかれ(2014年から「総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)」 https://www8.cao.go.jp/cstp/yushikisyahoka.html)ここが基本的には司令塔の役割を担うとされていたのですが、2018年には内閣官房長官の下に「統合イノ ベーション戦略推進会議」がおかれました。これは関連する複数の組織を連絡し、「統合イノベーション計画」を推進するとされ、いちおうは日本学術会議会長や大学関係者もメンバーに入っているCSTIはその下におかれる形になりました(「統合イノ ベーション戦略推進会議」の長は官房長官、メンバーは国務大臣 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tougou-innovation/pdf/sechi.pdf )。

この改正案では新たに内閣府に「科学技術・イノベーション推進事務局」を設置するとされており、これが従来の二つの組織とどのような関係にあるのかが不明でした。
  衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会での審議の中でこの点について尋ねた共産党の畑野議員に対する答弁で、官僚は「科学技術・イノベーション推進事務局」は「「総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)」および「統合イノ ベーション戦略推進会議」両方の事務局を担う」と回答しています。(2時間46分頃)

https://www.youtube.com/watch?v=0nONHD3Svg4

これについては、畑野議員が反対答弁でも述べているとおり、両会議をより一体化することで政権が科学を経済政策の道具として用いる体制を作ろうとするものと言えるでしょう。

 畑野議員の反対答弁は本改正案の問題点を的確に分かりやすく整理しています。短いので是非そこだけでも見てください。(3時間16分頃)

 

この後参議院での審議になります。